フォント名

【9割の人が知らない】Std/Pro/Nって何?
フォント名に隠された秘密

  • フォント名の前や後ろについてるアルファベットにはどんな意味があるの?
  • 同じフォントに種類がある時どれを選んだらいいの?
  • フォント名の最後にNがついてるのは何?

こんな悩みを解決できる記事になっています!

パソコンやスマホで文字を入力する時に必ず設定するフォント。
普段何気なく選んでいるフォントには色々な種類がありますが、フォント名の意味を知っていますか?

この記事で紹介する「フォント名に隠された秘密」について理解すれば、初心者の方でもデザインに合ったフォントを選べるようになります。

記事前半では「フォント名についてるアルファベットの意味」「⚫︎⚫︎N」について、後半では「フォントはどれを選べばいいか」について解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を読み終えることで、フォント名の違いを知って適切なフォントを選べるようになります。ぜひ最後までお読みください。

フォント名の前についてるアルファベットの意味

フォント名の前に「UD」とついているフォントを見たことがありますよね。UDフォントとはユニバーサルデザインフォントの略称で、誰にでも見やすく読みやすいフォントを指します。
有名なUDフォントを例に、一般フォントと比べてどれくらい読みやすいのかを比べてみましょう。

UDフォントには、以下のような特徴があります。

  • 文字のアキが広い
  • 文字の幅が調整されている
  • 紛らわしい線がない
  • 濁点と文字部分に余白が取られている

一般的なフォントよりも視認性や可読性に優れているため、誤読を防げます。
そのため、駅の看板や高速道路の標識、公共施設の案内板、新聞や教科書などの印刷物に用いられることが多いです。

日常生活の様々なところでUDフォントを確認できるので、ぜひ見つけてみてください。

1. 「新ゴ」と「UD新ゴ」

引用元:新ゴ R | 書体見本 | モリサワのフォント | 株式会社モリサワ
引用元:UD新ゴ M | 書体見本 | モリサワのフォント | 株式会社モリサワ

「新ゴ」は装飾がないフォントデザインで汎用性が高いゴシック体です。
「UD新ゴ」は「新ゴ」よりも文字の空間を広く取っているので、視覚的により明瞭で読みやすくなっています。

2. 「黎ミン」と「UD黎ミン」

引用元:黎ミン M | 書体見本 | モリサワのフォント | 株式会社モリサワ
引用元:UD黎ミン M | 書体見本 | モリサワのフォント | 株式会社モリサワ

明朝体は文字のトメやハネ、ハライが表現されるのが特徴です。
「黎ミン」は横画が細く視認性に欠けてしまいますが、「UD黎ミン」は高い視認性と可読性を実現するために横画が太くデザインされています。

フォント名の後ろについてるアルファベット

日本語フォント名の後ろについているアルファベットは、そのフォントが収録している文字数種類を表しています。「文字セット」とも呼ばれます。

文字セットとは、コンピュータ上で文字や記号を表示できるようにするために定められた文字の集合のことです。
全てのフォントで使用されていて、大文字・小文字、数字、句読点、およびその他全ての印刷可能な文字が含まれています。
同じ文字セットが入っているフォント同士であれば、フォントを変更しても同じ文字が表示されます

日本語の文字セットには大きく分けて2つのタイプがあります。

  • JISで定めた公的規格
  • 特定の企業や団体が定めた規格(アドビ株式会社、マイクロソフト社、アップル社、株式会社モリサワなど)

JIS規格の文字セットでは、現在、第1水準漢字〜第4水準漢字までが定められていて、水準が大きくなるほど定められている漢字が多くなります。

同じ文字セットに対応したフォント同士を使用すると問題ありませんが、第3水準漢字が必要なときに、第2水準漢字までしか対応していないフォントで表示してしまうといわゆる「文字化け」を起こしてしまい表示されなくなるので注意が必要です。

フォント名の後ろについている「Std」や「Pro」などの表記は、アドビ株式会社が定めた文字セットの規格(Adobe-Japan1)に沿って作られていて、「Adobe-Japan1」のどの種類に当てはまるかを表しています。

現在、Adobe-Japan1の種類はAdobe-Japan1-0〜Adobe-Japan1-7まであり、それに対応するようにフォント名の表記も決められています。

1. Std

Stdには「常用漢字」や「人名用漢字」などのJIS第1水準や、第2水準の漢字が含まれています。

規格:Adobe-Japan1-3
収録文字数:9,354文字

2. Pro

Proは、名前の通りプロフェッショナル向けの文字が充実しています。
Stdに含まれる文字よりも種類が拡充されており、出版や商業印刷の分野で効果を発揮します。

規格:Adobe-Japan1-4
収録文字数:15,444文字

3. Pr5

規格:Adobe-Japan1-5
収録文字数:20,317文字

4. Pr6

Pr6はProに含まれる文字だけでなくJIS規格にも完全に対応しているので、文字セットとしては最も包括的なものです。

そのため、人名や地名を正確に表示する必要がある新聞や学術書籍、ソフトウェアなどで正確な表示が必要とされるところで使用されます。

規格:Adobe-Japan1-6
収録文字数:23,058文字

フォントについてる⚫︎⚫︎Nって何?

ProNやPro6Nなどの「N」は、2004年に改定されたJIS規格の文字セットに対応していることを示す印です。

NありとNなしのフォントでは、168文字の漢字の形に違いがあり、例えば「辻」の漢字を比べるとNありは旧字風の二点しんにょうで、Nなしは略字風の一点しんにょうという風に表示され方が異なります。

フォントはどれを選べばいい?

フォント名にはたくさん種類があることが分かりましたが、どれを選べばいいのか迷いますよね。

日本語フォントを使用する場合、Pr6>Pr5>Pro>Stdの順に「Pr6」が最新です。
また、NありかNなしどちらもあるならばNありのものを選べば良いでしょう。
ただし、Nありなしで漢字の字形が変わるので、フォントを変える時はディレクターやクライアントに確認必須です。

まとめ

 ポイント

  • フォント名の前についている「UD」とはユニバーサルフォントのこと
  • フォント名の後ろについてるアルファベットはAdobeの文字セットの種類によって分けられていて収録文字数が異なる
  • Nありフォントは旧字風、Nなしフォントは略字風
  • 迷ったら文字の種類・文字数の守備範囲が広い「Pro6N」がおすすめ

フォントの名前に注目すると、フォントに収録されている文字の種類が分かります。
ぜひ、フォント選びに役立ててください。